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ヨーロッパの財閥と企業グループ 27 欧州財閥の系譜 フランス財閥

フランスの財閥は、ブランド王国を築いた企業ばかりです。世界に名だたるブランド約50社を擁する「モエ ヘネシー ルイヴィトン」(LVMH)は、高級ブランド品、有名ワイナリーなどを傘下に置く巨大コングロマリット(多角的複合企業体)です。1987年、ルイヴィトンとシャンパン製造会社のモエ・ヘネシーとの合併によりLVMHが誕生。LVMHグループは今日、ルイヴィトン、クリスチャン・ディオール、フェンディ、セリーヌ、セリーヌ有名ブランドを傘下におさめる巨大ブランド企業に成長。ワイン&スピリッツ、ファッション&レザー、パフューム&コスメティックス、ウォッチ&ジュエリー、セレクティブ・リテーリングの5つの事業から成ります。


グループを牽引するのは、会長のベルナール・アルノー。『フォーブス』2006年版の「世界長者番付」では前年の17位から一挙に7位にまで浮上した人物で、一代で資産額2兆3650億円の世界の億万長者となった成功者です。1987年にLVMHが誕生した翌年、クリスチャン・ディオール社がLVMHの株式の4割を取得し、合流しました。アルノーはルイヴィトン社の人間でも、モエ・ヘネシー社の人間でもなく、クリスチャン・ディオール社の社長でした。低迷していたディオール社を復活させた手腕が高く評価され、遂にLVMHも手中に収めたのです。アルノーはクリスチャン・ディオールを手に入れるめに親会社自体を買収し、親会社だけを売却するという離れ業をやってのけた人物です。その際にアルノーは、企業買収、国際投資では世界トップクラスの定評があるフランス系投資銀行「ラザール・フレール」と組んで買収を企てました。プジョー、ルノー、シトロエン、ミシュラン、パナールなどフランス自動車産業はロスチャイルド財閥に支えられてきましたが、その傘下であるラザール・フレール財閥が特に大きな影響力を持つといわれています。


LVMHはワイン&スピリッツ分野では、香港の商社ジャーディン・マセソンや英国ギネス財閥と組んでアジアやアメリカ、フランスなどにおける流通を共同事業で行う協定を定めました。ちなみにギネス社が米国のグランド・メトロポリタン社と合併して誕生したディアジオ社は、LVMH株を取得しています。ギネス財閥がベルナール・アルノーを支援したことで、彼がLVMHの総帥になれたのかもしれません。


90年代に有能なアメリカ、日本、イギリス、フランス、イタリア、スペインなどのデザイナーを起用するとともに積極的にM&Aを展開し、伝統的で優秀な手作りの製品作りで高級ファッション品市場を席巻していきました。特にM&Aによって次々に老舗ブランドを買収して巨大化していった様は、とても現代的な手法といえるでしょう。


ちなみにルイヴィトンの売り上げの4割は日本で、LVMHグループにとって日本人は「いいお客さん」ということになっています。一方、日本人のブランド志向は、ブランド品を貴族階級のものとしてあまり関心を寄せない欧米の庶民からは、異常に見えているようです。


フランスの財閥には、父親から化粧品会社「ロレアル」を引き継いだリリアンヌ・ベッタンクールがいます。彼女は『フォーブス』2006年版の「世界長者番付」では15位にランクインし、フランス国内では第2位となっています。女性の資産家としては世界屈指です。


ほかに著名なフランスの企業グループを挙げるなら、セルジュ・ダッソー率いる「ダッソー・グループ」を忘れてはいけません。ダッソー・グループは、戦闘機ファンには「ミラージュ」でおなじみ。フランス有数の軍需産業企業体であり、最近では情報産業に大きく進出しています。2004年にはフィガロ紙やレクスプレス誌をはじめ複数の有力地方紙を傘下におさめるメディアグループ「ソクプレス」の会長に選ばれています。


By Master K/益田 慶