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FXライフ 16 ユーロの歴史と欧州の通貨 非ユーロ採用国

ユーロを導入していない欧州の国のうち、まだ紹介していない国と通貨を個別に紹介していこう。とりわけ、それらはユーロの登場と拡大によって「どのような影響を受けたのか」に注目したい。


ノルウェーは1994年の国民投票でEU非加盟を決定している。通貨はノルウェー・クローネ。国際表示の略称はNOKだが、国内で値札などに使用されている表示は「kr」だ。クローネとはノルウェー語で「王冠」の意味である。この通貨は、1875年にデンマーク、スウェーデン、ノルウェーによる通貨同盟が結成され、導入されたクローネ(クローナ)が基になっている。ヨーロッパの通貨がユーロに統合されていくなか、ノルウェーが非EU国家であることから「スイス・フラン」とともに富に名高い欧州の通貨である。


ノルウェーはEUに加盟していないとはいえ、EU諸国との貿易関係は輸出入とも強い。意外に知られていないのが産油国としてのノルウェーだ。2004年度には、平均日量2900万バレルの原油を輸出し、世界の原油輸出国の中では、サウジアラビア、ロシアに次いで第3位の大国となった。またノルウェー沖の大陸棚で産出される天然ガスはヨーロッパ全体のガス消費量の15%を占めている。近年は、低金利政策や欧州諸国を中心とした外需の回復を背景に景気が回復し、また石油価格の高騰により、石油産業を中心に経済が活性化している。2006年度のGDPは2.9%、物価上昇率は2.3%、失業率は2.6%と安定している。


このように同国は沿岸の北海大陸棚で採掘される石油、天然ガスなどの資源に恵まれており、石油・天然ガス部門は同国のGDPの25%、また輸出額の約3分の2を占めている。ただし、石油への過度の依存は、国際的な石油価格の変動や輸出先の景気によって国内の経済に大きな影響影響をもたらすので、石油依存体質からの脱却が同国にとっての課題となっている。

また、原油・石油製品の決済はUSドルで行うことから、ノルウェー・クローネは石油価格とは直接連動せず、むしろユーロとの関連性が強いとされている。国際的な比較ではノルウェー・クローネは安定した通貨のひとつといえよう。


ユーロとの関係で見るなら、ノルウェー経営者連盟が企業にユーロ対策指導や相談を行っているが、これまでのところ企業経営方針、戦略、事業再編検討案などに大きな影響は出ていないとのことだ。ユーロが安定すれば為替市場でのリスクが減り、ユーロ経済圏の安定はノルウェー輸出産品の市場安定を意味する。各企業にとっても会計処理が簡易になり、資金調達も容易になるだろう。一方、ユーロ導入国の拡大が進むことのデメリットもある。国際市場での競争力の激化である。価格の透明性が増すことによって、値段の交渉に大きく影響することが予想される。


1993年に分離したチェコとスロバキアもまたユーロ導入に至っていない国である。チェコの通貨はチェコ・コルナ(Kc)、スロバキアの通貨はスロバキア・コルナ(Sk)だ。共産主義国家であった両国は、ともにユーロ導入を掲げている。チェコ人がほとんどを占めるチェコは現在、機械工業、化学工業を中心に景気は好調で、2005年以降6%の高い成長率を記録。賃金上昇が消費に波及し、内需が拡大したことがその要因とされている。一方で失業率の上昇(2006年は6.4%)、財政赤字の増加といった懸念材料もあるが、EU加盟を選択したチェコは、将来のユーロ導入の条件を整備する段階に入ろうとしている。


一方、スロバキア人から成るスロバキアは、2009年のユーロ導入を目指して2005年よりERMⅡに参加。積極的な外国投資の誘致を進め、失業率が10%近くあるものの、近年は個人消費に支えられ、輸出も好調。2006年は8.3%を記録するなど高い経済成長率を示し、2008年度予算では財政赤字が基準を満たすGDP比3%以内に抑えられる見込みである。


By Master K/益田 慶