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ヨーロッパの財閥と企業グループ 26 欧州財閥の系譜 ドイツ財閥

ヨーロッパの財閥には、流通・小売り事業で富を築きあげたファミリーが多くいます。今回はドイツを中心に紹介していきます。


世界最大の小売業、アメリカに本社を構えるウォールマート・ストアーズ社がドイツで苦戦している理由のひとつに、ドイツにディスカウントを中心とする「アルディ」やスーパーマーケット「メトロ」といった地元密着の店舗が存在することが挙げられます。


アルディ社はドイツを中心に10ヵ国で約4000の店舗展開をする企業。その核となる「アルディ」は、カールとテオのアルブレヒト兄弟が第二次世界大戦後まもなく始めた格安チェーン店で、徐々に消費者に受け入れられ、2人は今では320億ユーロ(約4兆8000億円)の資産を持つドイツ屈指の大富豪兄弟です。雑誌『フォーブス』の発表による「世界長者番付」2006年版によると、兄のカールは総合13位(ドイツ国内1位)、テオは総合22位(ドイツ国内2位)となっています。


一方のスーパーマーケット「メトロ」を経営するのは、オットー・バイスハイム一族です。「世界長者番付」では150~160位ですが、ドイツ長者番付のベスト10にランクインしている財閥で、小売業「メトロ」グループは、世界の小売業売上高ランキングで第3位(2004年度)を占めています。日本では丸紅と提携し、日本にも進出(千葉県)しています。


ドイツの流通財閥といえば、通販・カタログ事業で世界一の規模を誇る「オットー・フェルザント社」を経営するミハエル・オットー一族を忘れてはいけません。ドイツではアルブレヒト兄弟(1位、2位)に次いで3番目の資産額を保有しています。同社は海外戦略に力を注ぎ、アメリカ関連企業への投資のほか、1986年に住友商事と提携し、「住商オットー」を立ち上げ、通販事業を展開しています。ちなみに住商オットーは、化粧品会社ロレアル(フランス)と提携しています。ロレアルを経営するリリアンヌ・ベタンクールは、創業者の父親から会社を引き継いだ、フランス屈指の資産家。住友商事を介してドイツとフランスの有力ファミリーがつながっていることがわかります。


さらにドイツにはスーパーマーケットを中心に展開するテングルマン・グループがあります。これを支配するのがエリファン・ハウブ一族です。こちらもドイツで有数の財閥を成しています。
ドイツの自動車メーカーではBMWが著名ですが、当社のオーナーであるズザンネ・クラッテンも世界の億万長者。BMWはもともとは航空機用エンジンのメーカーでしたが、第一次世界大戦でのドイツ敗戦後、飛行機の生産を制限され、1923年にオートバイ生産へと転換しました。
その後、4輪車の製造を開始し、1994年にはイギリスのローバーグループ(現MGローバー)を買収するなど、自動車業界の“勝ち組”として君臨しています。40年もの間、赤字を出していないといわれるほど経営状態は良好です。


 ドイツにはほかにも世界28カ国62地域に自社工場を持つ、世界最大の医薬品メーカー「メルク」があります。1827年、世界で初めて痛みを和らげるモルヒネ類の製造に成功。1930年代、世界で初めてビタミンCの工業生産に成功し、抗がん剤「エルビタックス」、脱毛治療剤「プロペシア」の開発に成功しています。アドルフ・メルクレ会長は資産1兆円を超える大富豪です。


雑誌『フォーブス』の発表による「世界長者番付」2006年版では、トップ100の国別ランキングでアメリカ38人に次いでドイツ15人が第2位となっています。スウェーデン、フランスは5人、イタリア4人、イギリス、スペイン2人という結果です。欧州財閥と企業グループを知るうえで、どうやらドイツ、スウェーデン、フランス、イタリア、イギリス、スペインといった国がポイントになりそうです。


By Master K/益田 慶