ヨーロッパの財閥と企業グループ 22 ロスチャイルド関連企業の研究 ロスチャイルド銀行
今回はロスチャイルド財閥が深くかかわる金融業界を中心にお送りします。ロスチャイルド財閥の核となる金融・投資事業の象徴が、「投資銀行ロスチャイルド」です。現在グループには2,000人の従業員が働き、33ヶ国に40のオフィスを有して全世界に展開しています。ロスチャイルドは欧州、とりわけイギリス、フランス、イタリアおよびドイツにおいて、投資銀行として主導的な地位を占めています。またアメリカおよび南米においても確固たる地位を築いています。ロスチャイルド銀行は、トムソンファイナンシャルの集計によると、公表案件における取引金額ベースで欧州のM&Aアドバイザリーランキングで1位となっています。
ユダヤ系投資銀行のうちロスチャイルド系として著名なのが、ゴールドマン・サックスです。従業員総数は約10,600名。世界のM&Aアドバイザリーランキング第1位(2005年度)に輝く世界金融のリーダー的存在です。ちなみにトップ3は、ゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレー、JPモルガンです。
ゴールドマン・サックスはアメリカの金融グループとして認知されていますが、1869年にドイツ出身のマーカス・ゴールドマンが創業したユダヤ系企業。ロスチャイルド家とは婚姻関係でつながりが生まれました。ゴールドマン・サックスがアメリカ政界に及ぼす影響力は絶大です。古くは第二次世界大戦中、ルーズヴェルト大統領とトールマン大統領の顧問を務めたのが、当時のゴールドマン・サックス会長シドニー・ワインバーグでした。クリントン政権では当時のロバート・ルービン会長が大統領の参謀としてクリントンの資金集めに奔走し、経済担当大統領補佐官から財務長官になったことはよく知られています。
第2期ブッシュ政権の経済政策担当の大統領補佐官に就任したスティーブン・フリードマン(後に解任)もゴールドマン・サックスの共同会長を務めた人物でした。
同社は株式や通貨などの金融資産や不動産の売買、投資銀行業務、プライベート・バンキング、保険業務などを展開しています。日本では、ゴールドマン・サックス証券(東京・六本木ヒルズ)、ゴールドマン・サックス・アセット・マネジメント(東京・六本木ヒルズ)、ゴールドマン・サックス・リアリティ・ジャパン・リミテッド(東京・渋谷)など3つの会社から構成されています。ちなみにゴールドマン・サックスは三井住友ファイナンシャルグループと提携(ゴールドマン・サックスが三井住友に出資)しています。
ゴールドマン・サックスと一時期提携関係にあったリーマン・ブラザースもロスチャイルド系とされています。
さらに興味深いのは、ロスチャイルド財閥系子会社を抱える金融・証券会社の多さです。20世紀末に大規模に進められた買収・合併によって、保守系の金融機関はまるでロスチャイルド財閥と“親戚関係”を結んだかのように映ります。シティグループはロスチャイルド系のソロモン・ブラザーズを吸収、メリル・リンチはスミス・ニューコート(ロスチャイルド証券)と合併しました。
ロスチャイルド財閥の銀行として忘れてはならないのが、スイス・ユナイテッド銀行(UBS)とともに「スイス2大銀行」の1行と呼ばれるクレディ・スイス銀行です。ロスチャイルド家がスイスに設立した銀行で、ロスチャイルドグループの銀行家によって経営されてきました。
巨額の財産を築いた大富豪に対して「スイスのプライベートバンクの秘密口座に数億円を隠し持っている」といった噂話がささやかれますが、クレディ・スイス銀行がまさにそのプライベートバングです。永世中立国なので戦争が起こっても、ここに財産を預けておけば絶対安心というわけです。皮肉な言い方をすれば、不況や戦争が起こる度にこの銀行は太っていったということです。まるで誰かが意図して仕組んだかのような構造になっていることが気がかりです。
By Master K/益田 慶