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ヨーロッパの財閥と企業グループ 20 ロスチャイルド家の興亡 ロスチャイルド財閥の勢力範囲

ロスチャイルド財閥の勢力範囲は、まずヨーロッパ、ついでアメリカ、アジア、アフリカ、オーストラリアに広がり、戦争と革命、経済恐慌などあらゆる動乱のたびごとに膨張して現在に至ります。ロスチャイルド家は近代から現代に至るビジネス史上、最も成功したファミリーであることは事実です。さて、ロスチャイルド家の興亡を紹介する章は、過去から現在に向かって進み、やっと現代に至りました。今回は近年の話題からピックアップしてお届けします。


野村ファンドネット証券株式会社は、2001年より新たに「ファイブアローズ・ヨーロッパ・ブランド・ファンド」の取扱いを開始しました。このファイブアローズ・ヨーロッパ・ブランド・ファンドは、ロスチャイルド投信投資顧問株式会社が運用する追加型株式投資信託であり、国際株式型(欧州型)に分類される商品です。「ファイブアローズ」とは、もちろんロスチャイルド家の家紋となっている5つの矢のことです。


2005年2月、野村証券がM&Aビジネスにおいてロスチャイルド・グループと提携することを発表しました。野村証券は「これにより両社は、野村證券の日本における広範な顧客基盤とロスチャイルドの欧州におけるM&Aビジネスの主導的な地位を基礎として、日欧間のアドバイザリー業務の強化を図ってまいります」という公式コメントを発表しました。野村グループはロスチャイルド・グループのみならず、ロックフェラー系の三菱グループとも親しい関係にあるようです。

2005年にロスチャイルド・グループは、香港のジャーディン・マセソン・ホールディングスとの関係を生かし、世界で最も急速に伸びている合併・買収(M&A)市場であるアジアでのシェア拡大を本格的にスタートさせました。ロスチャイルドが目指すのは、アジアでのプライベート・バンキングと投資銀行業務の拡大です。フランスと英国の投資銀行業務を統括するのは、ディビッド・ロスチャイルド。現在のロスチャイルド家の総帥です。


一方2006年2月には、スイスの金融大手バンク・プリヴェ・エドモン・ドゥ・ロスチャイルド・ヨーロッパ(以下、BPERE)と日興コーディアル証券が、ファミリーオフィス・サービスの提供を専業とする合弁会社を設立すると発表しました。これは日本の裕福な層に向けたプライベート・バンキングです。合弁会社の名前は、LCFエドモン・ドゥ・ロスチャイルド・日興コーディアル株式会社。資産運用を兼ねた美術品や宝飾品の収集、海外旅行のアレンジまで顧客の要望に応えるとしています。


BPERE会長のベンジャミン・ロスチャイルドは「潜在的な成長力が大きい日本市場に、日興コーディアル証券という強力なパートナーを得て、本格的に参入できることを非常に嬉しく思っています」とコメントしています。ベンジャミンはロスチャイルド・パリ家の分家ながら、ヨーロッパで銀行・金融業、ワイン関連業、観光事業などを営む大富豪です。


日興コーディアルグループは、シティバンクを擁するシティグループと深く関係していますが、このシティグループが吸収した「ソロモン・ブラザーズ」はロスチャイルド・グループの一員でした。日興コーディアルグループもロスチャイルド系ということがいえるでしょう。


このようにロスチャイルド財閥は、日本でも多くのビジネスを展開しています。特に金融業界にはロスチャイルドの名前を冠した企業だけでなく、「ロスチャイルド系」と呼ばれるグループが進出しています。それらの存在を知っておくことは、投資をするうえで重要な知識となるでしょう。さて、次週からは、ロスチャイルド財閥関連企業を紹介していきます。そこには現在のヨーロッパの財閥や企業グループの影が色濃く表われています。


By Master K/益田 慶