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世界資源戦争 1 はじめに

今週からスタートする「世界資源戦争」は、世界経済が化石燃料や金、ダイヤモンドのように経済的な価値の高い資源の奪い合い、資源を有する国の利権争い、資源の売買によって動いてきたこと、そして現在も動いていることを説明し、投資ライフの参考にしてもらうためのコラムである。金融や投資とは一見関係ないように見えるかもしれないが、各国が有する資源量や流通ルートによって相場が動いていることや、世界の企業グループや財閥の資金源が、石炭や石油、天然ガス、ダイヤモンドなどの利権から生まれ、その資金をもとに金融ビジネスが行われているケースは少なくない。つまり、資源と金融は深くむすびついているのである。


「資源」といった場合、知財や技術、ノウハウといった無形のものを比喩的に含めるケースや、森林、河川、湖など自然環境を「産業資源」「観光資源」などと呼ぶケースがあるが、このコラムでは、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料、チタン鉄鉱やウラン鉱石、ダイヤモンドといった鉱物、鉄に代表される金属、金に代表される希少金属、ウランのような核燃料などを対象とする。主に地中や海底に埋蔵されている地下資源で、特に人間に有益であるものの総称と定義しておく。


これらに共通するのは、いつかはなくなる消滅型資源であること、特定の目的のために加工されて使われることが挙げられる。また、生産地は地理的に偏りがあり、採掘や加工に専門技術や莫大な費用がかかるため、世界のすべての国がその資源の恩恵を享受しているということではない。特定の国や地域、企業が生産と販売を独占したり、価格決定権を有したりすることから、資源によって富める国や企業とそうではない国や企業の格差は、すこぶる大きい。


わかりやすい例が石油産出国だ。石油産出国の利権を守るために1960年に誕生したOPEC(オペック)は、国際石油資本(オイルメジャー)が産油国の了承なしに原油公示価格の引き下げを発表したことに不満を抱いたことから設立された石油輸出国機構だが、加盟国はイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、カタール、リビア、アラブ首長国連邦などアラブ諸国に集中している。石油の埋蔵量、採掘量とも世界一とされる、OPECの盟主サウジアラビアは、石油の掘削と輸出が主な外貨獲得源(石油が外貨収入の約90%を占める)となっており、石油で獲得した外貨を世界各国で投資、運用しているのは周知のごとくだ。仮にサウジアラビアの王族に属する一人の王子がそのケタ違いの全資産を投資に注いだとしたら、世界経済はやはり大きな影響を受けるであろう。その王子の資産の源は石油の利権でしかないというのに、世界経済を水面下で動かすだけの資金を有しているのである。


産業革命以降に起こった多くの戦争の原因をひもといてみれば、宗教や民族の対立だけでなく、豊かな地下資源を有する国をなんとか支配したいとする国と、資源を渡してなるものかと抗う国の思惑から生まれたものが多いことに気づくだろう。人類は資源の保有をめぐって戦争にまで発展するのである。いや、実際の武力による戦争にまで発展しなくても、利権の独占や企業買収などは経済界を戦場とした資源戦争である。世界資源戦争が各地で、各国の間で、さらに各企業の間で繰り返されるのは、とりもなおさず資源が莫大な金になるからである。


「世界資源戦争」は、各国が有する資源を紹介しながら、その資源を商品化、産業化して資産を増やしてきた国や企業を取り上げていく。そこには石油シンジケートやダイヤモンドシンジケートといった闇の世界史も同時に横たわっている。各国の経済・金融支配者たちの横顔も見えてくるかもしれない。同時代的に展開している「世界資源戦争」の中身を知ることが投資ライフの参考になれば幸いである。


By Master K/益田 慶