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FXライフ 14 ユーロの歴史と欧州の通貨 財政安定化・成長協定

EUが安定経済を確保し、維持していくためにはいろんな方策があるだろう。「アメリカの対立軸としてEUが確固たる地位を築くためには、憲法を軸として超国家的な意思統一をしていく必要がある」と語る経済学者がいる。その提言の裏には、「EUはドルのような確固たる地位を築いていない。超国家的な意思統一ができていない」という含みがある。


1999年の導入以降、為替相場でユーロは不安定な動きをしてきた。これはユーロ圏がマクロ経済政策や経済構造への国際的信頼を市場から得ていないことを意味している。ある経済学者は「ユーロが信認を高めるためには、フランスやドイツが協定を遵守すべく財政再建を進める必要がある」と説いている。


ここで示されている「協定」とは、欧州連合が、ユーロ参加国に一定の財政規律を義務付けている「財政安定化・成長協定」のことだ。ユーロ価値安定のため、EU加盟国が放漫財政に陥ることのないよう、極端な不況など例外的な場合を除き、財政赤字を国内総生産(GDP)の3%以下に抑えるよう義務づけた。3年連続で3%を超えた場合には制裁金を科すなど厳しい内容で、景気悪化時に財政出動しにくいなど硬直性を批判する声が高まり、見直し協議が本格化してきた。


欧州の先進国は2004年まで、ITバブル崩壊後の景気低迷によって各国とも経済が伸び悩み、景気下支えの減税などで財政赤字が拡大した。ドイツやフランスなど、景気低迷に伴って財政赤字が協定の定める上限を超える国が相次ぎ、協定が現実的でないという見方が広がった。ここにユーロの制度的な問題点があらわになったのである。


金融、為替に関しては、「欧州中央銀行が現政策に固執した結果、障害が生じている」という指摘もある。EU域内の各国政府が欧州中央銀行に政策を委ね、自国に応じた金融政策を放棄した結果、慢性的な失業率(フランス9%台、ドイツ10%台)に対する有効的な対策を打ち出せないでいるのだ。事情の異なる各国の多様な動向を踏まえて、適切な政策を柔軟に打ち出す以外、解決への処方箋はなさそうだ。


アメリカの「ドル覇権」への反発から、「ドルに対抗しようとする試み」としての欧州通貨統合を持ち上げようとする傾向には、少し距離を置いて冷静に見つめたほうが得策である。


さて、欧州には旧ソ連の圧力によって共産化したり、領土を分轄させられたりした国が多くある。本年EUに加盟したルーマニアもそのひとつだ。1989年、当時のチャウシェスクの独裁政権がルーマニア革命によって打倒され、民主化された。通貨はレイ(RON)。民主化直後は高いインフレの影響で国民は厳しい生活を強いられたが、2005年に消費者物価指数が10%を下回り、EU加盟を目指してレイは強さを発揮してきた。


2006年の実質GDP成長率は7.7%、2005年に続き建築業(15.2%)が大きく伸びた。消費者物価指数は6.6%(2004年11.9%、2005年 9%)、失業率は5.2%、インフレ率は4.87%を記録。経済指標は総じて好調を示している。


ルーマニアは2005年、1万レイ=1新レウのデノミを実施した。これはEU加盟の布石であった。ルーマニアの経済は民主化まではロシアに依存してきたが、その比重は下がり、現在は欧州に傾いている。主な輸出国はイタリア、ドイツ、フランス、トルコなどだ。日本から見れば地味な印象に映るかもしれないが、ルーマニアは確実に成長している。2000年に40%を超えていたインフレ率が1桁になったことで、2004年に欧州委員会から「機能する市場経済」というステータスを認められた。2014年のユーロ導入を目標としているので、このまま堅実な成長を続ければユーロ導入は問題ないだろう。


By Master K/益田 慶