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FXライフ 13 ユーロの歴史と欧州の通貨 欧州市場の変化

2007年10月現在、ユーロは13ヵ国で導入されている。ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、スペイン、ポルトガル、アイルランド、オーストリア、フィンランド、ギリシャ、スロベニアだ。さらに、2008年1月からキプロスおよびマルタで導入が予定されている。


それでは、統一通貨が導入された欧州市場は、どのように変化したのだろうか。そしてどんな問題点が浮上したのだろうか。それらを検証する前に、導入当初予想されたユーロ導入の効果をまとめておこう。


1.ユーロ圏では為替取引のコストがなくなる。
2.統一通貨を使うことでユーロ圏が巨大な金融・資本市場へと発展する。それによって市場の流動性が高まり、ユーロ建ての新しい金融商品の開発につながるなど、資金調達と投資の可能性も広がる。
3.価格の透明性が増し、消費者にとっては商品やサービスの価格の比較が容易になり、企業にとってはコストの比較が容易になる。
4.為替相場の不確実性がなくなり、企業にとっては資金調達コストが下がるので貿易と投資の増加につながる。


単一市場の確立は、同じ貨幣が使える市場が増加することであり、市場が拡大するということである。だから欧州経済は健全な基盤を築き、安定する。このように期待されていた。
しかし、経済構造の異なる国々に単一通貨が導入されれば、無数の問題が生じることは明白だ。メリットと同時に、通貨統合の維持には大きい犠牲が伴っていることも直視しなければいけない。
まず、労働力の柔軟な移動こそが統一通貨維持に不可欠な条件であるが、現在のユーロ圏諸国はこの条件をクリアできていない。資本の移動はかなり自由に行われているものの「自国民の仕事が奪われる」と危惧し、移民の受け入れを快く思っていない国が多いからだ。


もちろん企業は為替リスクの完全な回避や両替手数料の削減などさまざまなメリットを享受することになった。その一方で、マクロ経済の政策の実施に際してはいくつかの問題点が出てきている。そのひとつが、欧州中央銀行(ECB)が全体として金融政策を実施していくため、導入国固有の問題に対して各国が適切な金融政策を実施できなくなっていることだ。また物価安定以外は政策目標が不明瞭で、欧州中央銀行は金融市場に急激な変化が生じない限り、弾力的な金融政策をとらない傾向にあるため、物価の安定のための対応が遅れがちになっているとも指摘されている。一方、財政政策においては、ユーロ導入各国は「安定成長協定」を満たす必要性があるため、財政政策を各国の経済に合わせて実施することにも限界が出てくると分析されている。


さて、2004年にEUに加盟したハンガリーはかつて社会主義労働党が独裁した国だ。1989年、西側のオーストリアとの国境に設けられていた鉄条網「鉄のカーテン」を撤去し、国境を開放した際に西ドイツへの亡命を求める東ドイツ市民がハンガリーに殺到したことは冷戦終結の引き金にもなった。
ハンガリーの通貨単位はフォリント(Ft)だ。欧州通貨制度のERM Ⅱ(為替相場メカニズム)には参加していないが、現在ユーロに対して一定のレンジに収める為替政策を行っているので、ユーロ導入に向けた通貨政策を行う可能性は高い。


民主化以降、外国資本を受け入れて積極的に経済の開放を進めたハンガリーは、「旧東欧の優等生」と呼ばれるほど好調な経済成長を成し遂げた。ジェトロによれば、2006年は純輸出が拡大した一方で、政府の掲げている緊縮財政政策の実施により消費や設備投資などの内需が低迷し、実質GDP成長率は3.9%にとどまっている。気になるのは、物価上昇率も3.9%を示していることと、失業率が7.5%を示していることだ。インフレと失業率が増加し、国民の貧富の格差が増大していることは覚えておきたい。


By Master K/益田 慶