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FXライフ 7 ドルの歴史と世界のドル 双子の赤字

1981から1989年まで2期8年、大統領を務めたロナルド・レーガンは、軍事支出の増加と並行して減税を行った。在任中にイラン-イラク戦争、アフガン戦争に莫大な軍事費を投じ、その結果、巨額の財政赤字と累積債務の劇的な増加に結びついた。その負債はレーガンの就任時と、彼の後継者ジョージ・H・W・ブッシュ(パパ・ブッシュ)の就任時を比べると、およそ200%増加している。貿易赤字と財政赤字が並存することを「双子の赤字」と呼ぶが、レーガン政権下がまさにこの状態であった。


米国の貿易収支は、かつて外為市場で最も影響力の大きい経済統計だった。しかしそれは1980年代後半までのことだ。当時の為替相場は、1985年の「プラザ合意」を受けてドル急落の大相場が展開していた。ドルの大幅切り下げ策の背景となったのが、巨額にふくれあがった米国の貿易赤字であり、それを要因とした国際的な貿易不均衡の拡大だった。外国為替市場の参加者は、毎月発表される貿易収支、特に米国の貿易収支の結果が市場の予想に比べて「多いか・少ないか」の観点から、「ドル売り」「ドル買い」を決定したのである。


しかし、「米国の貿易赤字がドル安につながる」という考え方は、果たして正しいかったのだろうか? 一方では、「ドル安が進むと貿易赤字は縮小し、ドル高が進むと貿易赤字が拡大する」という理論がある。1999年にノーベル経済学賞を受賞した経済学者ロバート・A・マンデルは、変動相場制のもとでは「金融緩和は国内金利を引き下げ、所得を増大させて自国通貨安となり、財政支出拡大は金利を引き上げ、自国通貨高をもたらす」「外国での金利の上昇は自国通貨安になる」「輸出入の促進策が経営収支に与える影響は、為替レートの変化により相殺される」といった説を展開した。これによると、為替が貿易収支に対して先行するという解釈になる。


1990年代に入ると、ドル安の大相場は終わる。連邦準備制度理事会(FRB)のグリーンスパン議長の助言もあり、クリントン政権下で均衡財政が進められ、巨額の財政赤字は解消。2000年には2300億ドルの財政黒字を達成した。クリントン大統領は後期に「強いドル」政策を実行し、他国の通貨に対してドル高を維持し、海外からの投資を呼び込んだ。


さて、南西太平洋に浮かぶ島国に「ドル」と呼ばれる通貨を使っている国がある。ニュージーランドだ。通貨はニュージーランド・ドル(NZD)で、NZドルとも呼ばれる。「キウイ」や「キウイ・ダラー」という愛称もある。フルーツのキウイは中国生まれだが、1904年にニュージーランドに持ち込まれ、国鳥「キウイバード」に似ていることから「キウイ・フルーツ」と名づけられた。現在ではニュージーランドを代表する果物として世界に輸出され、「キウイ」は「ニュージーランド」の代名詞として使われているのだ。


輸出国・輸入国とも、1位:オーストラリア、2位:アメリカ、3位:日本の順番。地理的条件からオーストラリアへの依存度が高いことはわかるが、輸出・輸入国の両方にアメリカがランクされていることに注目して欲しい。オーストラリアの貿易は、輸出国が日本、中国、韓国の順、輸入国がアメリカ、中国、日本の順であることを比較すると、ニュージーランドは貿易面でアメリカの影響を受けていることが見えてくる。
ニュージーランドの主な産業は畜産物の加工だ。世界第3位の羊皮生産(10万トン、世界シェア約6%)、第4位のバター(47万トン、5.7%)、第5位の羊肉(51万トン、4.1%)、第6位の毛糸(2.2万トン、2.1%)などが有名だ。ほかにチーズ、牛肉、製材も大きな産業になっている。これらの産業は安定し、日本はニュージーランドの「お得意さん」でもあるのだ。


NZドルの円相場は「豪ドル円相場」と似たような値動きをするので、為替の動向はオーストラリアとセットで考えると、わかりやすい。オーストラリア同様、ニュージーランドの政策金利は高水準となっており、NZドル建て債券や外貨預金も近年注目を集めている。GDPは世界43位と決して高くはないが、NZドルは無視できない存在である。


By Master K/益田 慶