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FXライフ 3 ドルの歴史と世界のドル ドル(dollar)

USドルの歴史を短くまとめておこう。世界各国で用いられている通貨の呼称「ドル(dollar)」の語源は、16世紀~18世紀に現在のドイツやオーストリアを中心に流通した上質の銀貨「ターレルThaler」とされている。この銀貨のことを単に「ターラー(当初はThaler、のちにTaler)」と呼んだ。このターラーがやがてダラー(Daler)と呼ばれるようになったという説が一般的だ。


たとえば18世紀、スペインはメキシコやペルーで優良な銀山を発見し、大量の銀貨を発行した。母国では「8レアル(Real)」銀貨と呼ばれるものを、諸外国は「スペイン・ドル(Spanish Daler)」や「メキシコ・ドル」と呼び、アジアではこのメキシコ・ドルが貿易通貨として広く利用されていた。では、イギリスとフランスの植民地であった頃のアメリカの通貨の単位は何だったのだろうか? ポンド(Pound)である。ポンドは重さの単位でもあるが、本来は1ポンドの重さの銀に相当する価値を表していたのである。


アメリカ合衆国の建国は1787年に建国だが、米国ドルが誕生したのは6年後の1793年である。その後、イギリス(1816年)、ドイツ(1871年)に続き、1873年に米国、1876年にフランスが、金銀複本位制や銀本位制などから金本位制へと移行した。この時点ではまだイギリスのポンドが基軸通貨であった。


第一次世界大戦で欧州各国の経済が弱体化したのに反して、アメリカは戦争特需で経済が急成長したため、基軸通貨が機能面で英ポンドから米ドルへ移った。第二次世界大戦後、新秩序の取り決めのひとつとして、国際通貨体制の枠組みを話し合う「ブレントンウッズ会議」が開催され、主要通貨の固定レートが定められた。アメリカがIMF体制の下で各国中央銀行に対して米ドルの金兌換を約束したことや、アメリカの経済力を背景に米ドルが名実ともに基軸通貨となった。ちなみに、固定レートにより、日本円は1949年4月から1ドル=360円に決められ、この時代は20年以上続くことになる。


ところで、世界各国で流通している「ドル」と呼ばれる通貨の中で、USドル以外に著名なものとして、オーストラリア・ドル(AUD)、ニュージーランド・ドル(NZD)、カナダ・ドル(CAD)、シンガポール・ドル(SGD)、香港ドル((HKD)などが挙げられる。今回はシンガポール・ドルに着目してみよう。


100年以上もの間イギリスの植民地であったシンガポールは、東南アジアにあって英語を公用語とする稀有な国である。また、中国系、マレー人、インド人などから成る複合民族国家でもある。東南アジアの国際都市と位置づけることができるだろう。


シンガポールには「中央銀行」と呼ばれる機関はなく、シンガポール通貨金融庁(MAS:Monetary Authority of Singapore)が広範囲な通貨・金融政策、造幣業務を行っている。
シンガポ-ルドルの最大の特徴は、「バスケット方式」による管理型変動相場制であることだ。通貨バスケット制度とは、主要な貿易相手国・地域の通貨を各国・地域との貿易量で加重平均する制度。シンガポールの場合は、USドル、ユーロ、円などの「複合通貨のペッグ制」である。


通貨バスケットの構成通貨および構成比率については、MAS(通貨金融庁)が適宜見直しているが、詳細については公表されていない。また、経済規模が小さいシンガポールでは、通貨投機などによる為替の乱高下を避け、シンガポール・ドルの安定を図るため、外国通貨取引と自国通貨取引を完全に切り離す政策(シンガポール・ドルの非国際化政策)を実施している。


具体的には、非居住者に対する一定額以上の貸し出し(500万Sドル以上)に対するMASの事前承認取得義務、銀行業免許の種類によるシンガポール・ドル取扱業務への参入制限、国内資本市場から調達したシンガポール・ドルの国外使用制限などがある。


By Master K/益田 慶