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FXライフ 1 はじめに

外国為替市場は、異なる二つの通貨を売買することから各国の通貨の価値と切っても切れない関係にある。そして各国の通貨の価値は、その国の政治・経済の状況、他国との関係を反映していることは言うまでもない。つまり、FX投資家は自ずと世界各国の政治・経済のニュースに敏感にならざるを得ないのである。


最もわかりやすい例を挙げるなら、内戦や政情不安などにより経済が不安定な国では通貨価値の変動が大きくなる。するとその国の隣国にも何らかの影響を及ぼす。大量の移民が生まれ、隣国に流れていけば、隣国にもまた政治・経済面で大きな変化をもたらすだろう。

確かにその国のGDPや物価指数、貿易の状況(黒字、赤字)などのデータを読めば、国勢と通貨の強さ・弱さの関係はおおよそ見えてくるだろう。そういった情報を分析し、FX投資家は今後のFX市場がどう動くのかを常に予測している。

しかし各国の通貨を扱う投資家は、表面的なわかりやすい事象、データばかりに目を奪われるのでなく、その国の深層部にあることにも目を向け、隣国との関係、主な輸出国・輸入国はもとより、民族構成や宗教、歴史的背景など多角的に分析したうえで投資に挑まないと、失敗を繰り返すことになりかねない。


たとえばある国では国民の所得水準は高いが、同様に物価も高い可能性もある。所得だけを比べて「隣国より経済が安定している」と捉えるのは早とちりとなる。所得と物価の両方を見て、隣国と比較しなければいけない。

またある国では昨年度の国民の所得は低いが、近年化石燃料の発掘が進んでおり、その開発の資本は特定の国から提供されているとしよう。その資本を提供している国は国内に化石燃料は埋蔵されておらず、石油やガスは輸入に頼っているという事実を分析したうえで、どちらの国の通貨が今後価値を上げるのかを熟考し、投資することが賢明だ。

あるいは、各国に流れている連続した歴史をチェックしておくことで、その国特有の「経済の法則」や「衰退と発展の法則」が見えてきて、突発的に思える事象も必然であることを発見できるだろう。


今回からスタートする本コラムは、FX投資家にとって必要な「世界地理の読み方」を紹介するものである。それは地理的側面を伝えるだけでなく、情報収集のあり方やニュースの見方・活用の仕方を知らせるものだ。また独自の分析的な視点を養ってもらうものであり、各国が向かっている「その先」を読むための論理的な思考を鍛えてもらうための道しるべと言えよう。


コラムのポイントをまとめるなら、下記の項目が挙げられる。


●所得や物価、金利などの経済統計や政治・経済ニュースの読み方
●エネルギー資源の有無など産業構造や輸入・輸出面、資本取引からの考察
●その国と他国との関係性から読み解く両国の将来性
●各国特有の地理的条件、歴史的背景などからアプローチする概況


世界の通貨といえば、ドルとユーロが自ずとメインになってくるが、アメリカとEU諸国だけに着目するのではなく、並行してマイナー通貨が流通している国の概況も紹介していく。マイナー通貨を使っている国々は、おおむね隣国の強い通貨の影響を受けているからだ。こうして多角的に、そして論理的に各国の概況を見たうえで、一般化されていない情報を自身で収集し、文脈をつくり、投資のアイディアに結びつく何かを発見することはできるはずだ。


それでも、すべての国、すべての通貨をウォッチングし続けることは容易ではない。そこで、気になる国や通貨を絞込み、投資に適した情報を集中して収集するのもひとつの手である。コラムを通じて気になる国や通貨を見つけたなら、それが投資へのスタートラインだ。このコラムが皆さんの投資ライフに役立つことを祈ります。


By Master K/益田 慶