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ヨーロッパの財閥と企業グループ 11 ロスチャイルド家の興亡 リオ・ティント社

世界の金融を支配し、ダイヤモンドや金(ゴールド)の市場をコントロールするまでに至ったロスチャイルド家は、同時に石油や原子力、化学、兵器の分野にも進出しました。


前号で南アフリカの天然資源を発掘、生産する企業にロスチャイルド財閥が融資を行い、世界的な独占企業に成長させた経緯を紹介しましたが、南アフリカの大地にはウランも眠っていました。


イギリスに本社を構える、ウランの採掘、開発を担う最大手「リオ・ティント・リンク」は、もともとイギリス・ロスチャイルド家が経営する鉱山全般を扱う「リオ・チント社」がスペインの「コンソリデーテッド・ジンク社」を吸収して誕生したものです。地面に穴を掘る作業は、ロスチャイルド家が融資した、ダイヤモンドの「デ・ビアス社」、金の「アングロ・アメリカン社」とも同じです。どれが豊富に発見されるかは時の運で、掘り出した鉱石を3社が交換しあう関係を築いておけば、効率よく進むはずです。


余談ですが、アフリカの黒人を鉱山で強制的に働かせ、人種差別を推し進めた「アパルトヘイト政策」を背後で操っていたのは、南アフリカに進出した前出した巨大企業とイギリス政府ですが、彼らに資金を提供したのが、これまた世界各国で弾圧をされてきたユダヤ人、その最も成功した一族であるロスチャイルド家であったことは皮肉といえるかもしれません。


話をウランに戻しましょう。ヨーロッパの原子力産業に欠かせないのが、ロスチャイルドグループの「リオ・ティント・リンク」です。1903年にラジウムの発見、放射能の研究によってノーベル賞を受けたキューリー夫人の研究のスポンサーとなったのが、ロスチャイルド財閥であったことは有名です。ロスチャイルド家は、「金になりそうな研究・開発」に融資し、やがて投資に見合う利益を回収する一族です。


フランスは総発電量の約80%を原子力に依存し、同時にヨーロッパ中に電気を供給している原子力大国です。これはパリのロスチャイルド家が資金面で支援したからこそ可能になったことです。もちろん、莫大な利益を回収できたことでしょう。


さて、続いて石油にも目を向けてみましょう。ドイツのダイムラーがガソリンで動く内燃機関を発明した1883年以降、爆発的な石油ブームが起こりました。同じ頃、アメリカでは1870年、ロックフェラー兄弟が「スタンダード石油」を設立し、その10年後にはアメリカの大富豪の一人に数えられるまでになっていました。


当時、中東の油田はまだ発見されておらず、ヨーロッパではカスピ海のバクー周辺の油田が最大のものでした。ロスチャイルド・パリ家のアルフォンス・ロスチャイルドは1883年に、ロシア政府の財政難を助けるために公債を引き受けました。その見返りに、バクーで最大級のバニト油田を入手しました。


イギリスの「シェル」とオランダの「ロイヤル・ダッチ」は、当時アメリカで支配権を確立したロックフェラーの「スタンダード石油」に対抗するために、歴史的な合併をし、「ロイヤル・ダッチ・シェル」が1907年に誕生します。この合併を推進したのが、ロスチャイルド家と深い結びつきのあるユダヤ人、ロバート・コーエンでした。ロックフェラー財閥をライバル視していたのは、ヨーロッパの石油会社だけでなく、すでにアメリカにも進出している、ユダヤ人を中心とした多国籍業のロスチャイルド財閥だったともいえるでしょう。


ロイヤル・ダッチ・シェルは、販売する石油を確保するために、1914年にロスチャイルド所有の油田を買い取ります。ロスチャイルド家は売却代金として、400万グルデン相当の「ロイヤル・ダッチ」の株(全株式の10%)と、24万ポンド相当の「シェル」の株を手にし、「ロイヤル・ダッチ・シェル」の大株主となります。

 
以後、ロスチャイルド一族は中東の石油を発掘し、ヨーロッパ最大、世界第2位の石油会社に成長させ、「ロックフェラー」と対峙することになります。


By Master K/益田 慶