FXライフ 10 ユーロの歴史と欧州の通貨 EUの統合拡大
1967年に発足したヨーロッパ共同体(EC)が機能するためには、加盟国の増加が必要であった。そして加盟国内での資本移動の自由化が行わなければ通貨の導入は実現できなかった。
1973年、デンマーク、アイルランド、イギリスがECに加盟。この新規加盟は、のちのEUの重要な政策分野となる、統合拡大の第1歩となった。拡大は進み、1981年には6年間加盟を望んで協議してきたギリシャが加わった。1985年には住民投票の結果グリーンランドがデンマークから自治権を獲得し、ECから離脱するものの、第3次拡大として1977年から加盟を希望していたスペインとポルトガルが1986年1月に加わった。
1986年には欧州旗の使用が採択。1986年2月、加盟国首脳は単一欧州議定書に調印。1987年、トルコは正式にEU加盟の希望を表明し、現在も続けられる加盟交渉が着手された。
そして1989年。東欧での激変に続き、「ベルリンの壁」が鉄のカーテンとともに崩れ去ってドイツは再統一を果たし、旧東ドイツ地域へのEC拡大への門扉が開かれた。こうして1989年4月、「経済通貨統合」(EMU)への道筋を示した「ドロール報告」(通貨同盟に関する報告)が発表され、3段階を経て通貨・金融面でプロセスが決定した。新たな拡大の波が広がる中で、1992年、欧州連合(EU)の創設を求める「マーストリヒト条約」が調印され、翌年に発効、遂に欧州連合(EU)が誕生することになる。
「ユーロ」導入までの3段階とは以下のプロセスである。
1.EU圏内市場統合の促進
・人、物、サービスの移動。中央銀行総裁会議の機能強化
2.マクロ経済政策の協調強化
・欧州通貨機構(EMC)の創設
3.経済通貨統合の促進
・単一通貨「ユーロ」の導入
・欧州中央銀行(ECB)による金融政策の実施
1993年11月、「マーストリヒト条約」が発効され、ECの枠組みに外交と内務に関する分野の枠組みを加えた3つの柱構造を持つEUが発足。マーストリヒト条約では地域委員会が創設され、欧州投資銀行(EIB)の傘下に欧州投資基金(EIF)が設立される。さらに1994年、欧州経済領域(EEA)協定が発効し、欧州自由貿易連合(EFTA)加盟国でEU非加盟国のノルウェーとアイスランドは、財政支出と関連EU法の支配を受けることを条件に、前年に創設された欧州単一市場に加わった。残りのEFTA加盟国のうち、スイスは参加を拒否、リヒテンシュタインは加盟した。1995年、欧州司法裁判所(ECJ)は「ボルデサ判決」を下し、その中で市民は域内において事前の許可がなくとも紙幣を国外に持ち出すことができるとした。これが資本の移動の自由化である。
さて、EU加盟国でありながら「ユーロ」を使っていない国がいくつかある。そのひとつが、福祉国家として名高いスウェーデンである。通貨単位はスウェーデン中央銀行が発行する「スウェーデン・クローナ(SEK)」だ。
2000年に与党・社会党が党大会でユーロ参加の方針を決定したが、国民にはユーロ参加による福祉レベルの低下を懸念する声もあり、2001年の世論調査では、参加不支持が支持を上回った。2003年9月にユーロ参加の是非について国民投票が行われたが否決。これは主に北部などユーロへの参加に保守的な立場の人々の票が影響したと分析されている。
スウェーデンの2006年度のGDPは4.2%。経営収支、貿易収支、輸出額とも増大している。ジェトロは2007年以降のスウェーデンの経済見通しについて、「輸出の伸びが鈍化することから経済は緩やかに減速しながらも拡大基調で推移する」との見解を示している。スウェーデン財務省は、実質GDP成長率は07年3.3%、08年3.1%と予測している。こういった背景からスウェーデン・クローナは手堅い通貨といえよう。
By Master K/益田 慶