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外国為替再入門 16 外国為替市場のプレーヤー | 外国為替再入門 15 ニューヨーク外国為替市場 | 外国為替再入門 14 ロンドン外国為替市場 | 外国為替再入門 13 東京外国為替市場 | 外国為替再入門 12 拡大するFX市場 | 外国為替再入門 11 インターバンク市場、対顧客市場 | 外国為替再入門 10 固定相場制、変動相場制 | 外国為替再入門 9 外国為替デリバテォブ | 外国為替再入門 8 スワップ取引 | 外国為替再入門 7 リスクヘッジとスペキュレーション | 外国為替再入門 6 外国為替レートの表示 | 外国為替再入門 5 マーケットメーカー | 外国為替再入門 4 直物(スポット)レート、先物(フォワード)レート | 外国為替再入門 3 外国為替レート | 外国為替再入門 2 変動する為替レート  | 外国為替再入門 1 外国為替を理解する |

外国為替再入門 16 外国為替市場のプレーヤー

外国為替マーケットには、銀行、顧客、中央銀行、外為ブローカー(短資会社、FX会社などの仲介業者)などが市場参加しています。

銀行は他の銀行との間で為替レートを提示し合い、インターバンク市場を形成しています。ここでいう顧客は銀行にとっての顧客で一般企業や個人のことを指しています。外国為替市場の主役は言うまでもなく銀行ですが、銀行が外国為替マーケットで取引する目的は2つあります。ひとつは銀行自身が差益狙いで行う取引です。もうひとつは顧客との取引で発生したポジションを市場でカバーする取引です。

キャピタルゲイン狙いで取引する銀行の自己ディーリングは多くの場合は短期売買です。1日の中であるタイミングでは売り、あるタイミングでは買いに入り、あるいはカバー取引を行います。その日のニュース、経済指標、マーケットの動きに機敏に反応して短期売買を繰り返します。また、大口顧客の売買の方向に反応して短期売買します。

顧客は、キャピタルゲイン狙いの取引もしますが、輸出入など商業取引に基づく実需売買の為替取引が主体です。特に東京マーケットではその傾向が強いです。海外への送金、貿易取引、資本取引に基づく為替取引です。これらの取引は、取引主体の性質にしたがって、買うか、売るかどちらかで、買い戻しなどの反対売買は発生しない取引が大半です。これらの取引は一方通行の取引であることから中長期的には為替レートのトレンドを形成する要因となります。銀行の自己ディーリングやヘッジファンドの取引は長短の差はあるが、いずれ反対売買がなされます。これらがトレンド形成への影響を及ぼすことは少なく、短期のボラティリティを形成する変動要因にしかなりません。トレンドを形成するのは、需給に影響を与える長期的売買である必要があるのです。

顧客には様々な目的をもった取引主体があります。ヘッジファンド、CTA(先物業者)、投資銀行などのように銀行以上のポジションを積極的に持つスペキュレーターもいれば、自動車、機械の輸出メーカーのように輸出代金を外貨で受け取る企業は定期的に外貨売り・自国通貨買いを行います。また、石油会社、電力会社のように、原油や天然ガスを常に輸入する企業は、その支払いのために定期的に外貨買い・自国通貨売りを行います。さらに生命保険会社のような長期の資金運用需要を持つ企業は外国債、外国株を長期保有したりするため外貨の買い入れを行います。

中央銀行も外国為替市場では主たる取引主体です。しかし中央銀行の取引目的は、急激な為替レートの変動を抑制したり、一定の変動幅を保ったりするのが目的です。国家の為替政策を実行するのが中央銀行の取引目的ですが、このような為替取引を市場介入と呼びます。かつての日本銀行は頻繁に市場介入を行っていました。オーストラリア準備銀行、南アフリカ準備銀行などは現在でも常時市場介入を行っていますし、ニュージーランド準備銀行なども時折市場介入を実施しています。

シンガポール通貨庁のようにアジアのいくつかの中央銀行では、為替の安定のための市場介入ではなく、キャピタルゲインを目的とした投機的売買を行うところもあります。外貨準備の運用が目的です。したがってこのような目的のための中央銀行の売買は市場介入とは呼びません。

ブローカー(仲介業者)は、インターバンクでの取引を仲介する業者です。ブローカーには銀行からの売買注文が集まり、それを結びつけます。大口の実需筋もブローカー経由で為替取引を行うこともあります。ブローカー自身は通常は自己ディーリングを行いません。自己ポジションを持つことなく仲介に徹するのがブローカーです。


外国為替再入門 15 ニューヨーク外国為替市場

ニューヨーク市場は、ロンドン市場に次ぐ世界第2位の市場です。2004年の1日平均取引高は4,610億ドルです。ロンドン市場が7,530億ドル、東京市場が1,990億ドルですから、市場規模の比率は、ロンドン:ニューヨーク:東京=15:9:4になります。もう少し大雑把に捉えると、3:2:1程度の割合です。


ニューヨーク時間の午前8時30分は、アメリカの経済指標が発表されることが多いのですが、この時間はロンドン夏時間の午後1時30分に当たります。つまりニューヨーク市場の始動とロンドン時間の午後が重なり、その最初の時間にアメリカ経済指標の発表があるのでマーケットは大変活発になります。


市場としてはニューヨーク市場は世界第2位ですが、第1位のロンドン市場でさえも取扱通貨の第1位はドルですから、ドルが外国為替市場に与える影響は大きく、ドルの行方を左右するアメリカ経済指標に世界中のディーラーが注目するのは当然のことでしょう。円安の材料が出た同じ日にアメリカでドル安の材料が出た場合、円安材料が影響するのはせいぜい日本時間の間かロンドン時間の午前中までです。


円安材料は、ニューヨーク時間の開始とともにドル安材料にかき消されて、影響度が同じような指標発表であれば結果はドル安になります。日本の指標発表が東京時間、ロンドン時間、ニューヨーク時間を通して影響を与え続けることは多くありません。逆に、ニューヨーク時間に出たアメリカ発のドル材料は影響時間が長いようです。


ニューヨーク市場の午前中の取引は大変活発です。ロンドン、フランクフルトなどのヨーロッパ勢が市場参加し、時間帯が夜間であってもアジア市場からの参加も活発に行われます。しかし、ロンドン市場が終わる時間になると取引は少なくなってきます。ニューヨーク時間の午後になると市場参加する勢力は南北アメリカに限られてきますから、取引は急速に細ってくるのです。


夏時間冬時間で多少ずれはあるものの、日本時間の午後9時くらいから深夜1位時くらいまでが最も活発に取引が行われ、その後急速に取引は細るのです。ニューヨーク時間は世界中の1日の取引が終わる最終時間です。多くの金融機関がニューヨーク時間の午後3時、4時をその日の基準時間に定めて終値を決めています。ポジションの調整もこの時間を最終時間として調整しています。売買注文、ストップロスの確定などがこの時間までに行われます。


ニューヨーク時間の午後は、このような最終調整時間となるため、ポジション調整が規則的に行われるケースも多く、規則的な売買を捉えて思惑売買する投機筋も見られます。


ニューヨーク時間の最後には、ロサンゼルス、ウェリントン、シドニー市場がシームレスに引き継ぎますが、オセアニア通貨を除けば大きな変動が起きることは少ないようです。1990年代初頭までの日本経済の好調で東京市場がニューヨーク市場に迫る勢いの時期もありましたが、東京の凋落と同時期にアメリカ経済の復活がニューヨーク市場の成長を助け、現在では安定的に世界第2位の地位を確保しています。


外国為替再入門 14 ロンドン外国為替市場

ロンドン外国為替市場の取引高は東京市場の4倍ほどになり、世界一の取引高を誇ります。


変動相場制が始まって以来、ロンドン外国為替市場は世界の外国為替取引をリードし続けています。ロンドン外国為替市場の取引高は、全世界の取引高の30%を占めていて、2004年4月のBISの調査では、1営業日当たりの平均取引高は7530億ドルに達しています。


ロンドンには欧米の主要金融機関だけでなくアジア、アフリカ、中近東、東欧、ロシアなどの金融機関も進出していて、それぞれの自国通貨とユーロ、ドルなどの主要通貨との取引を行っています。


ロンドンは歴史的に国際金融業務の中心地として機能し続けた経緯があって、世界の金融機関が進出してきています。イギリス経済が低迷していた1970年代にあっても金融業務は世界の中心としての地位を守ってきました。これはイギリス政府がロンドンを国際金融の場として金融機関の自由な活動を保障してきたことが大きな理由です。イギリス政府が、国内金融機関の保護を中心とする政策ではなく、世界の金融機関が自由に金融業務を行えるように法規制、税制などの面で自由競争の場を提供し続けてきた結果です。


ロンドンは、地理的にアジアとアメリカの中間に位置し、ロンドン時間の午前中はアジア時間の午後と重複し、ロンドン時間の午後はアメリカ時間の午前と重複します。つまりロンドン市場は、ヨーロッパの金融機関のディーラーのみが参加する市場ではなく、アジアやアメリカの金融機関のディーラーも参加する市場となっているのです。このような地理的優位性がロンドンの国際的地位を高めている原因のひとつになっています。


ユーロが誕生したとき、ユーロを管理するヨーロッパ中央銀行があるフランクフルトにヨーロッパの金融の中心が移るのではないかと危惧されたことがありました。また、1990年代に入ってIT技術が発達し、取引システムの電子化が急速に進み、アメリカの金融の中心がニューヨークに集中するのではないかとの予測が出たこともありました。つまりアメリカの金融機関がロンドンやフランクフルトから撤退してニューヨークに集中し、ロンドンの金融都市としての機能が低下するのではないかと危惧されたのです。アメリカ経済の好調を背景にアメリカ一極集中になるとの憶測でした。そかし、これらは杞憂に終わり、アメリカの同時多発テロ以来、ロンドンの隆盛は以前にもまして活発化しています。

ロンドン市場ではヨーロッパ通貨のみならず、アジア通貨も活発に取引されますが、中には当該国の市場以上にロンドンで活発に取引される通貨もあるくらいです。アジア通貨危機の引き金を引いたタイ・バーツの取引は、バンコクやシンガポールでの取引よりもロンドンでの取引のほうが活発でした。アジア各国の中央銀行と投機筋・ヘッジファンドとの攻防戦は、ロンドン市場で行われたのです。

ロンドン市場では、外国為替だけでなく短期資金、債権、金利先物、商品(穀物、原油、金属)などの取引も活発に行われています。特にユーロダラー市場(EUR/USD)の中心でもあります。世界の2大メジャー通貨の取引の中心である以上、世界の金融機関が集まるのも当然です。


イギリスの金融機関がアジア、オセアニア、アフリカ、南米など世界中の金融機関と取引があり、さらに資本関係が結ばれていることも多く、またイギリスの銀行といいながらも、業務の中心が国外にある銀行もあり、ロンドン市場がこれらの地域と切り離される可能性は皆無であると言えるでしょう。


たとえば、香港上海銀行(HSBC)は、世界最大級の銀行ですが、イギリスに本社を置きながら、社名の通り業務の中心はアジアにありました。


現在ではヨーロッパ、アジアだけではなく、北米、南米、オセアニアなど営業エリアを世界中に広げています。スタンダード・チャータード銀行もイギリスの銀行ではありますが、歴史的経緯から業務エリアは香港を中心としたアジアと南アフリカです。さらに、RBS(Royal Bank of Scotland)、バークレイズ銀行、HSBCのイギリス3大銀行は、世界各地の銀行を傘下に収めており、世界各地とロンドンの関係はより強化されているのです。


外国為替再入門 13 東京外国為替市場

東京外国為替市場の特徴、顧客為替


外国為替市場はシームレスに世界をつなぐグローバル市場であることはすでに述べました。
世界の主要な市場は、それぞれに特徴を持っています。


世界3大市場といわれる市場は、ロンドン、ニューヨーク、東京です。東京市場の特徴は、顧客為替の取り扱いが多いことです。日本は貿易立国であり、輸出が強い国ですから、必然的に輸出によって得られた外貨を円貨に交換する需要が高いのです。また、資源に乏しい日本は原材料、原油、食糧品の輸入も多く貿易額は多大な金額になります。


東京外国為替市場はこの顧客為替取引の割合が30%にもなります。ニューヨーク市場、ロンドン市場の顧客為替割合は10%程度ですから、東京市場の顧客為替の割合が特徴的に高いことが理解できます。それだけ実需筋による為替市場参加が多いということでもあります。


ですから、東京市場の為替レートを考えるときは、顧客為替の動向を重視していく必要があるのです。


為替ディーラーは、互いに情報交換したり、意見交換をします。東京の銀行ディーラーの情報は、顧客情報が中心で、欧米の銀行のように自己ディーラーによる判断、戦略が中心であることと比較して大変受動的であるといえます。つまり日本の銀行は顧客に対する外国為替サービスが中心で、自己売買によってマーケットを形成しようという意欲に欠けるのです。逆に欧米の銀行は、経済環境の情勢分析を能動的に行い、自らマーケットに仕掛けていく傾向が強いようです。


東京市場の日本の銀行は、自らのポジションを積極的に採りませんから、顧客の需要が減退するとマーケット全体が低迷することになります。


東京市場の取扱通貨ペアはドル円が圧倒的に多く、全体の60%程度を占めています。EUR/USDが12%、EUR/JPYが7%と続きます。ニューヨーク市場、ロンドン市場は、USD/GBP、USD/CHFなどの通貨ペアも活発に取引されます。準メジャー通貨であるオーストラリア・ドル、スウェーデン・クローネなどの取引も多いのですが、日本ではAUD/JPYなどの人気は高いものの、円を中心とした取引が中心であり、大きなローカル・マーケットとも言える状況です。


東京市場の問題点


東京市場がロンドン、ニューヨークに次ぐ市場であることはすでに述べました。この順位に変化はありませんが、1980年代後半はバブル景気の勢いもあってか、取引量は急速に伸びていました。しかし、バブル経済が崩壊してからは取引量は低迷し、外国為替管理法の改正による自由化で多少活発化しては来たものの、それ以上にロンドン市場、ニューヨーク市場の発展は目覚ましく、両市場との差はむしろ拡大しています。


東京市場の為替ディーラーの質は高くはないようです。ロンドン市場は、常にニューヨークからの猛追を受けてきましたが、9.11同時多発テロによるニューヨークの打撃は、為替ディーラーに対する心理的影響も多大でした。多くの優秀な為替ディーラーがニューヨークからロンドンに移ったといわれています。


東京市場は、この点で有利であったにもかかわらず、高コスト体質、金融当局による規制、法整備の不足、邦銀の財務体質の低下、税制上のデメリットなど競争優位にあるとは言えず、むしろ香港、シンガポール、ドバイなどのアジア新興市場に地位を奪われつつあります。


また、東京市場は金融当局による為替介入が頻繁に行われる市場であったこともあり、管理された市場という印象も強く、これらも東京市場の発展を妨げた原因のひとつであるといわれています。現在では、為替介入はほとんど行われておらず、2004年4月から2008年6月現在において、一度も介入がなかったと公表されています。


さらに金融当局者、為政者による情報管理が徹底しておらず、為替情報に守秘義務が守られないとの批判が多く、海外の取引が東京を避けていく傾向もあるようです。


外国為替再入門 12 拡大するFX市場

毎日200兆円の資金が動くFX市場

外国為替市場は、1973年に変動相場制に移行して以来拡大し続けている。変動相場制移行に伴うヘッジ需要の拡大、冷戦終結による世界貿易の拡大、金融取引に関する規制緩和の流れからデリバティブなどの金融商品が開発され、規制緩和ととともに市場参加者が増加してきたのである。


外国為替市場の取引量は、国際決済銀行(BIS)が各国中央銀行の協力の下、3年ごとに市場調査を行っていますが、2004年4月の調査によれば、世界の外国為替市場での1日当たり取引は、平均して200兆円にも達します。ドル建てで1兆9000億ドルにもなります。世界全体の年間貿易量が9兆円ですから1週間で1年分の取引が成り立つことになります。日本のGDP500兆円と比較してもGDPの40%に相当する資金が1日で動いているのです。

外国為替市場における取引のうち、直物取引は6200億ドルです。先物取引は2000億ドル、スワップは9500億ドルですから、取引の半分はスワップ取引になります。スワップ取引は、2001年の調査と比較すると40%弱の増加で、デリバティブ取引が急拡大していることが分かります。


取引量増大の理由は、規制緩和による金融機関以外の取引が挙げられます。ヘッジファンドなどの取引が急拡大したこと、アジア、中東欧、南米、南アなどの新興国通貨の取引量拡大、大手銀行による中小金融機関向け外国為替仲介サービス(プライム・ブローキング・サービス)の拡大により、これまで参加していなかった小規模金融機関の外国為替市場への参加が可能になったことなどがあります。


世界最大の外国為替市場、ロンドン市場


市場別取引高ではロンドン市場が世界最大です。ロンドン市場は1日当たり7500億ドルの通貨が取引されています。第2位がニューヨーク市場で4600億ドル、第3位が東京市場で2000億ドルです。その他では、シンガポール市場、フランクフルト市場、香港市場などが続きます。


ロンドン市場が大きい理由は、取引量が最も多い通貨ペアがEUR/USDであること、ロンドン市場の取引時間は、午前中がアジア時間と重複し、午後の取引時間はニューヨーク時間と重複するため取引しやすいことがあります。また、中東、ロシアなどのオイルマネーが循環するのもヨーロッパ市場、特にロンドン市場を経由することなどが考えられます。EURが基軸通貨として機能し始めているのも一因です。


外国為替市場は、取引所が存在しない市場ですから、各市場の取引時間が決まっているわけではありません。各市場はなだらかに取引が増え、なだらかに減少していきます。各市場はシームレスに結合して取引を円滑にしているのです。ただし、マイナー通貨については、当該通貨国の活動時間に多くの取引が成立するため、取引には注意が必要になります。


外国為替市場は、ウェリントン市場、シドニー市場から始まります。規模からみるとシドニー市場のほうが遥かに多いため、実質的にはシドニー市場が最初に開く市場です。シドニー市場と東京市場には1時間乃至2時間の時差がありますから、東京市場はシドニー市場の様子が見えてから活動開始となります。かつての東京市場は午前9時に始まり、午後3時半に終了していましたが、現在では時間規制は撤廃されていますから、シドニー市場、香港市場、シンガポール市場とは混然一体となっており、日本時間の夕方にはヨーロッパ時間とも重なって大きな取引の流れを作っています。


外国為替市場は、このようにシームレスに繋がっていることから厳密な意味での終値、始値は存在しません。金融機関などが時間を決めて独自に設定してはいますが、汎用的に利用されている値ではありません。多くの場合は、ニューヨーク時間の午後3時-5時で設定している場合が多いようですが、その後の時間帯でもロサンゼルス、サンフランシスコなどの経済活動は止まっていませんから値は動きます。FX投資についてはこの終値の決定で問題はありませんが、商取引上の為替レートの決定においては時間を正確に定めておかないとトラブルの原因になります。


外国為替再入門 11 インターバンク市場、対顧客市場

外国為替市場は、コンピュータと通信回線で結ばれた市場です。取引所のような物理的な場はありません。通信ネットワークを通じてマーケットが形成されているのです。このバーチャル市場に銀行、企業、個人が外国為替市場に参加しています。


外国為替市場は、インターバンク市場(銀行間市場)と顧客市場から成り立っています。銀行は通信ネットワークを使って互いに取引を行います。これをインターバンク市場(銀行間市場)といいます。インターバンク市場での取引レートをインターバンク・レートといいます。


インターバンク市場では、銀行間が直接取引する場合と仲介業者(ブローカー)を介して取引をするケースがありますが、前者を直取引、後者をブローカー取引といいます。


銀行は、銀行間で取引を行うだけでなく、個人や企業などの顧客とも取引を行います。この取引を行う市場を顧客市場といいます。かつてはこの業務は認可を受けた特定の銀行、企業にしかできませんでしたが、外国為替管理法の改正により自由化されました。


顧客市場で取引される為替レートは、インターバンク・レートによって決定されます。銀行は他の銀行、顧客との交換レートを提示します。これを建値といいますが、銀行は、このレートを求められれば提示しなければなりません。


マーケットを形成する銀行には、銀行間取引専門のインターバンク・ディーラーがいます。通貨ごとに担当を分担し、多くの銀行と取引を行います。対顧客との取引担当をカスタマー・ディーラーといいます。カスタマー・ディーラーは対顧客に市場情報を提供したり、助言したり、取引を履行するのが業務です。これらインターバンク・ディーラー、カスタマー・ディーラーの他に、自己ディーリングによる売買でポジションをとるプロプライアトリー・ディーラーがいます。為替ディーラーはこのような3種類の業務を行う人たちのことをいいます。


為替マーケットは24時間取引の市場です。ウェリントン、シドニーから始まって、東京、香港、シンガポール、ドバイ、フランクフルト、ロンドン、ニューヨークと各都市がすべての時間帯をカバーしてシームレスにつながっています。


外国為替再入門 10 固定相場制、変動相場制

管理変動相場制

為替レートを決定する制度には、大きく分けて固定相場制と変動相場制があります。固定相場制は、文字通り為替レートを固定している制度です。かつて、ドル円相場が1ドル=360円と固定されていた時代がありましたが、これが固定相場制です。為替レートは通貨当局によって管理・操作されます。


それに対し、為替レートを市場に任せて自由に動く制度が変動為替制度です。フロート制とも言います。為替レートは市場での需要と供給によって決定されます。


固定相場制の中には一定の変動幅を設けて変動を許容する場合もあります。また、変動相場制でも、一定の変動幅の中で動くように中央銀行が操作する場合もあります。これを管理変動為替制度といいます。為替変動の許容幅がないのが固定相場制、一定の幅で変動を許容する制度を管理変動為替制度、価格決定権が市場にあるものを変動相場制といいます。


これらの他に、自国通貨を特定の通貨にリンクさせ、リンク先通貨を準備通貨として保有する通貨制度をカレンシー・ボード制と言います。ペッグ制などと言ったりもします。香港はドルにリンクさせているためドル・ペッグ制などと言います。香港の場合は、2005年から小幅に変動幅を許容しています。

固定相場制から変動相場制への移行

第2次世界大戦後の為替制度は、ブレトンウッズ体制による固定相場制が長く続きました。ブレトンウッズ体制とは、ドル金本位制とも言われ、アメリカ合衆国がドルと金の交換を保証し、各国は国際取引の決済通貨、準備通貨としてドルを利用する体制です。各国は自国通貨をドルに対して一定の為替レートを設定することができました。しかし、1950年代に、アメリカによるヨーロッパ、アジアの復興援助により金・ドルの流出が増大し、1960年代になってアメリカの金準備が対外ドル債務を下回る結果となりました。


国際決済通貨としてのドルの地位は揺らぎ、1971年8月、ドル金交換を停止しました。これがニクソンショック、ドルショックです。1971年12月、10カ国蔵相会議が開催され、1934年に1ドル=金1/35オンスであった交換比率が1ドル=金1/38オンスに切り下げられ、さらに1973年には金1オンス=42.22ドルへと10%の切り下げが実施されました。ドル金交換比率を引き下げ、再度固定相場制(スミソニアン体制)に戻しましたが、この年、EC諸国は変動為替相場制(フロート制)を採用し、固定相場制は崩壊しました。日本も1973年に変動相場制に移行しています。

このような経緯から、現在は主要通貨間は変動相場が主流となっています。しかし現実は、主要通貨以外の通貨は固定相場制、管理変動相場制が主流となっています。日本は変動相場制を採用していますが、2000年から2004年初頭まで為替介入がたびたび行われ、実質的には管理変動相場制とも取れるほどの介入額でした。

各為替制度採用国

変動相場制

アメリカ
ユーロ圏
カナダ
イギリス
スイス
オーストラリア
ニュージーランド
メキシコ
日本

管理変動相場制

マレーシア
中国
シンガポール
タイ
チリ
ロシア
デンマーク
イラン

固定相場制

ベネズエラ
サウジアラビア
ベトナム

カレンシー・ボード制
香港


外国為替再入門 9 外国為替デリバテォブ

デリバティブは「金融派生商品」とも呼ばれますが、元になる現商品(資産)から派生した金融商品のことで、外国為替では、通貨先物、通貨オプション、通貨スワップ、通貨先物オプション、通貨スワップションがデリバティブになります。


通貨オプション


通貨オプションとは、通貨を売買する権利のことです。通貨オプション取引では、その権利を取引することになります。権利を行使するときは、為替取引をすることになります。デリバティブは為替取引以外にも、株価指数、株式、債権、金利などにも使われますから概念としては広く使われます。最近では天候デリバティブなど天気、気温などにも使われますが、保険の意味合いのほうが強いようです。デリバティブは、一般的には先物、オプション、スワップなどの取引形態を指すことが多いようです。


デリバティブ、特にオプションは、合成することで様々な金融商品を作り上げることができます。原資産との組み合わせ、コール・オプションとプット・オプションの「売り」と「買い」、行使価格を組み合わせることで実に多様な金融商品を開発することが可能なのです。


外国為替市場での通貨オプション、スワップ取引を中心としたデリバティブの取引量は、原資産である通貨取引量をはるかに凌駕しています。また近年は、取引量が大幅に増えています。デリバティブを利用した取引形態が、様々なリスクヘッジ方法を生みだし、それによって様々なトレーディング方法も開発され、マーケットに提供されてきたからです。


しかし、デリバティブを使った取引は複雑で、リスク・コントロールが難しく、その結果、金融商品の価格の妥当性が正当性を持たないようなものも出現しているようです。妥当性を検証するにはブラック・ショールズ理論など複雑な計算を必要とし、複雑に組み合わされた金融商品を購入者がすべて検証するのは無理があり、不可能に近いのです。その結果、妥当性を検証することなく、妥当であることを前提とした取引になっているというのが現実のようです。


外国為替再入門 8 スワップ取引

為替取引の取引量では、スワップ取引は直物取引、先物取引を凌ぎます。為替取引の60%がスワップ取引で占められています。


スワップ取引


為替取引には、直物(スポット)、先物(フォワード)の2種類の取引形態があることはすでに説明しました。為替取引にはこの2つの取引を組みあわせて取引する形態としてスワップ取引という取引形態があります。直物と先物を同時に反対売買する方法です。先物を売って直物を買う。先物を買って直物を売る。また、期日が異なる先物同士の売り建て、買い建てを両建てする取引もスワップ取引といいます。


たとえば、USD/JPYの直物レートが$=105.00円、6か月先物レートが$=104.80円の場合、100万ドルを直物で買うと同時に、6カ月物を100万ドル売るという取引です。このような取引をスワップ取引といいますが、直物や先物を単純に売買する場合をアウトライト取引といいます。


外国為替取引は、一般的には直物取引のイメージが強いもですが、それはテレビなどのニュースで報道する為替情報が、直物レートを為替レートとして報道しているからです。スワップ取引については別途詳細します。本項冒頭にも書いたように、外国為替取引の取引量ではスワップ取引が最も多いのです。2004年4月現在の国際決済銀行(BIS)の調査では、外国為替取引の60%がスワップ取引で、40%が直物取引です。先物取引はわずかな量にすぎません。


スワップレート


では、なぜスワップ取引が盛んにおこなわれているのでしょう。実は、スワップ取引は外貨交換を行うために行われているというより、金利取引を行うために取引されているというのが実態です。


銀行が顧客の依頼を受けて先物為替取引を行う場合、直物レートとスワップレートを算出します。銀行は、直物取引とスワップ取引の両方の取引を同時に行います。顧客と先物取引をすることで発生するリスクを排除するためにこのようなカバー取引を行うのです。このように顧客との取引によって生まれる為替ポジションをスクウェアにする取引をカバー取引といいます。


銀行は、顧客との間で取引した先物取引を直物取引とスワップ取引を組み合わせることで発生するポジションをカバーしています。先物取引のうち量の部分を直物でカバーし、金利分をスワップ取引でカバーするのです。銀行間取引では、直物取引とスワップ取引が取引の中心になっています。


スワップレートは、直物レートと先物レートの差によって生まれます。このレートは交換される2つの通貨のそれぞれの金利の差によって生じます。つまり先物レートは、直物レートと2つの通貨の金利差を合成したものとなります。


直物レートは常に変動しているので、銀行は顧客との取引が成立するのと同時にカバー取引(直物取引)を行ってリスクをヘッジします。スワップレートは常時変動することはありませんから、あとでカバー取引(スワップ取引)を行います。


スワップという言葉は、金融用語としては通貨スワップ、金利スワップなど他の取引を意味することもあります。スワップは本来、交換するという意味ですから、債務、債権、金利、元本などを交換する場合にスワップという用語を使います。同一通貨の金利を交換するのが金利スワップ、異通貨の金利を交換するのが通貨スワップです。混同を避けるために外国為替でのスワップ取引を為替スワップということがあります。


外国為替再入門 7 リスクヘッジとスペキュレーション

為替取引の目的

外国為替取引が行われる理由は3つあります。


第1の理由は、実需による外貨需要です。外国旅行をする場合、必ず訪問国の通貨が必要になります。アメリカのような大きな国場合はドルだけあれば充分ですが、ユーロ導入前のヨーロッパやアジア旅行ではいくつもの小さな国が隣接していますから、さまざまな通貨が使われています。
香港、マカオ、中国では通貨が違いますし、シンガポール、マレーシア、インドネシアなども隣接していて往来も多いのですが通貨は別々です。


ヨーロッパ連合では、2008年1月現在、15カ国で統一通貨ユーロが導入されていますが、導入前は各国通貨を両替する必要があり、両替コストだけでも相当な金額が必要となっていました。統一通貨ユーロの導入により、決済コストの規模だけで131億~192億ユーロ、3兆円のコスト削減ができたと推定されています。


第2の理由は、貿易、投資など外国との経済活動によって生じる獲得外貨、支払邦貨の価値変動を安定化させるためです。輸出業者は、製品を輸出してから一定期間後、3ヶ月後、6ヶ月後に代金を代価で受け取ります。その間に為替が変動すると円貨に交換した時の価値と輸出時の価値とが違ってきます。これを為替変動リスクといいますが、このリスクをヘッジするために為替先物予約を組みます。将来の為替を事前に確定することで為替変動リスクを最小限に食いとめるのです。


第3の理由は、投機(スペキュレーション)です。リスクの大きさと期待収益の大きさは比例します。投機は損失の可能性を許容した上で、つまりリスクを取って大きな期待収益を狙う取引です。外国為替取引の90%以上はこの投機によるものです。投機的取引に批判的な声もありますが、リスクを取る投機家が存在しなければ健全なヘッジ市場は存在し得ません。為替マーケットにとって投機は必要な要素のひとつなのです。ヘッジファンドは投機取引をする機関投資家ですが、ヘッジとは本来はリスクを回避するという意味ですから、本来の意味からするとヘッジファンドは意味するところとは逆の投資スタイルであるといえます。ヘッジするではなくヘッジャーの受け手としてのヘッジファンドということになります。


外国為替取引は、同じマーケットで取引しているにもかかわらず、参加者の取引理由はさまざまです。呉越同舟、同床異夢なのですが、それによって為替マーケットという船は安定するのです。損失を最小限に防ごうとする実需家と為替変動利益を狙う投機家が存在するのですから、それぞれが有利な条件で取引しようとするならば、それぞれの事情で最も有利なタイミング、方法を知らなければなりません。リスクを取って為替変動利益を狙うヘッジファンドは、変動のトレンド、変動幅を分析する必要があります。ですから為替変動の要因分析、チャート分析手法の研究、市場、通貨の特徴などに精通しておく必要があるのです。


実需家と投機家では思い描くものが異なりますから、マーケットに与える影響も異なってきます。実需は一方的に買うか売るかのどちらかですからトレンドを形成します。貿易が黒字であれば常にその国通貨は買い圧力に晒されます。ヘッジファンドは短期間で利益をあげる必要があります。なぜなら決算までに利益を確定して、決算後に再度エントリーするといった取引を繰り返すからです。したがって投機筋による為替取引はボラティリティを形成することになります。長期変動の主要因は実需、短期変動の主要因は投機筋となるのです。もちろん背景には経済のファンダメンタルズがあってのことです。


外国為替再入門 6 外国為替レートの表示

自国通貨建て、他国通貨建て


外国為替といったときに、日本でよく目にするのは、1ドル=120円50銭、1ユーロ=155円20銭といった表示方法です。外貨1通貨単位を自国通貨で表示する方法で、自国通貨建てといいます。逆に、自国通貨の1通貨単位を外貨で表示する方法を外貨建て、外国通貨建てといいます。1円=0.009074ドル、1円=0.006443ユーロと表示したり、100円=0.9074ドル、100円=0.6443ユーロなどと表示したりすることもあります。各国のローカル表示法としては自国通貨建てを採用している場合が一般的です。  


インターバンク市場では通常はドルを中心に為替レートが表示されます。1ドル=115円30銭、1ドル=1.30578カナダドル、1ドル=0.8765ユーロなどと表示されます。これはドルを中心とした取引が多いためですが、表示ルール通りに考えると実はドル中心ではありません。現在ではユーロを中心に、つまり左側に表示するのがルールとなっています。次にポンド、次に英連邦各国、次がドルです。ですから、通貨ペアの表示方法としては、EUR/USD、EUR/GBP、EUR/AUD、EUR/JPYなど、どの通貨との組み合わせでも必ずEURの表示が左側になります。EURの次に強いのがGBPですから、GBP/USD、GBP/JPY、GBP/AUDといった表記方法になります。


英連邦は、AUD/USD、AUD/JPY、AUD/CAD、AUD/NZDなどとなります。その次がUSDですから、USD/JPY、USD/CHFなどと表記します。理由はよくわかりませんがJPYが左側にくることはなく常に右側に表記されます。たとえどんなに弱い通貨であっても、新興国の通貨であってもJPYは右側です。TRL/JPY、MXN/JPY、ZAR/JPY、NOK/JPY、HKD/JPY、CZK/JPYなどです。英連邦(コモンウェルス)の通貨はドルに優先するといいましたが、唯一カナダドル(CAD)だけは、USD/CADとUSDに劣後します。


クロスレート


外国為替市場ではドルの取引シェアが高いのですが、ドルを介在しない取引もあります。EUR/JPY、EUR/GBPなどはドルを介在することなく直接交換されます。これをクロスレートと呼びます。クロスレートは2つの対ドルレートを合成して計算します。たとえば1ドル=120円00銭、1EUR=1.4ドルとすれば、1EUR=120円×1.4=168円00銭という計算になります。EUR/JPY、EUR/GBPなどメジャー通貨同士の通貨ペアであれば直接取引されることも多いのですが、マイナー通貨との通貨ペアの場合は、ドルを介在させた取引を行うのが実際的です。たとえば、AUD/CHFを買う場合は、AUD/USD買いUSD/CHF売りの合成でAUD/CHFを買うことになります。マーケットユーザーはAUD/CHFを買っているつもりでも、マーケットメーカーの銀行はドルを介在した通貨ペアに分解してインターバンク市場に提示しているのです。


外国為替再入門 5 マーケットメーカー

マーケットメーカーとマーケットユーザー

外国為替市場には、為替レートを提示する側、建値する側と建値に基づいて売買する側の2者が存在します。建値を提示する側をマーケットメーカーと呼びます。通常は銀行がこと役割を担当します。対する側は通常は一般企業、個人などです。銀行は建値を提示する側でもあり、受ける側でもあります。建値をするときはマーケットメーカー、取引をするときはマーケットユーザーとしての立場となるのです。


しかし、すべての銀行がマーケットメーカーになるわけではありません。マーケットメーカーとしての機能を果たすためには、インターバンク市場で充分な信用力があること。また、専任担当者、業務システム、リスク・コントロールなどの社内体制を整える必要があり、相応の投資が必要になります。これらのリスクとコストを為替手数料で賄うのですから、それなりの取引量も必要になります。為替取引のみで利益をあげるのであればマーケットメーカーになる必要はありませんから、マーケットメイクを業務とするか否かは、各銀行の経営戦略に基づくものとなります。


マーケットメーカーの主役は銀行

マーケットメーカーの業務を担うと外為市場の動きを直に見ることができます。必然的にマーケット情報が集まり、リスク・コントロールがうまくいけば大きな利益をあげることができます。取引管理、リスク・コントロールがうまくできれば銀行の主要収益源とすることも可能になります。大手銀行の多くがマーケットメーカーになるのはこのような理由からです。


現在では、1998年の外国為替管理法の改正で銀行以外の会社でもマーケットメーカーになることができるようになりました。為替取引の一般化、小口化は世界的な潮流です。以前のような1本1億円100万ドルの取引が、現在では1万円1万ドルの取引も可能になってきました。これらはインターネットの世界的普及によって可能となってきたのです。銀行以外のマーケットメーカーの多くはFX業者ですから、このような業者を通した取引では小口の個人取引同士の取引も成立してきます。


このような小口取引に銀行が関わることは稀ですが、近年では小口取引を可能とした銀行の出現も注目されています。シティバンクはインターバンク市場でもメインプレーヤーですが、個人顧客に対してもFX取引口座を用意しています。またデンマークのSAXO銀行はインターバンク市場、対個人顧客市場に特化したインターネット銀行として特徴を出しています。マーケットメーカーは互いに競争していますが、世界単一市場ですからそのシェアは徐々に上位企業に集中しつつあります。

上位10行のシェアは60%を超え、日本でも上位10行のシェアが70%を超えています。主なマーケットメーカーとしては、シティバンク、HSBC、ドイツ銀行、BNPパリバ銀行、J.P.モルガン・チェース銀行、バークレイズ銀行、UBS、クレディ・スイス銀行、ソシエテ・ジェネラル銀行、クレディ・リヨネ銀行、ANBアムロ銀行などがあります。


外国為替再入門 4 直物(スポット)レート、先物(フォワード)レート

直物は2営業日後に決済


外国為替レートは、通貨の交換レートですが、決済期間の長さによってレートは異なります。一般的に為替相場、為替レートという場合は、スポットレート、直物レートのことを指します。テレビ、新聞などの報道で使われる「為替相場」は、直物レートのことです。


直物とは、通貨を交換することを契約した日から2営業日後に決済する(受け渡し)為替のことです。直物は世界中で取引されています。


先物は2営業日以上先の決済日


直物に対して、決済日が2営業日以上先の取引を先物といいます。フォワードともいいます。通貨の受け渡しが3ヶ月先、6ヶ月先に行われる為替取引です。このときの交換レートを先物レート、フォワード・レートといいます。製造業などの輸出企業が販売計画を立てるのに、販売時の価格が決まっていないと経営に影響を与えます。ですから計画時に先物を予約して、為替レートを確定しておくことで、事前に販売額などの数値を確定しておくのです。


多くの場合、期間は1年未満です。しかしこの期間はルールで決まっているわけではありません。企業が求めれば銀行は為替レートを提示してきます。ドル円、ユーロ円、ユーロドル、ポンドドルなど、メジャー通貨同士であれば5年先くらいまで先物市場でレート提示されます。通常は1年未満の取引が大半です。


インターバンク市場では、スポットの日から1ヵ月後、2ヵ月後のような期日で取引されます。
これもルールがあるわけではないので、企業顧客から求められれば不定期な期日であってもレート提示されます。


直物は、2営業日後に決済される取引ですが、当日、翌日の決済も直物として解釈します。
実務的には当日物、翌日物、1週間ものなどと呼び分けています。


ドル円取引の場合の資金決済は、ドルはアメリカで、円は日本で実行されます。実際には、取引相手の銀行のニューヨークに持つドル口座と東京に持つ円口座との間で、資金の振り替えによって処理されますから物理的に現金が移動するものではありません。


また、先物為替レートは、通貨間の金利差によって決定します。金利差が年5%あったとすれば、1年先のレートは5%のディスカウントとして算出されます。


外国為替再入門 3 外国為替レート

実需取引


外国為替取引は、実需と仮需(投機)に分けることができます。貿易、資本取引など経済的な裏付けがある取引を実需といいます。経済的裏付けの無い取引を仮需、投機、スペキュレーションなどといいます。


実需は、企業などが行う輸出入取引、海外工場の新設などに伴う直接投資、企業買収、資本参加などによる間接投資、資本投資などが実需の中心ですが、投機取引する企業もたくさんあります。


投機取引の中心的主体は銀行です。銀行の自己ディーリング部門は、為替差益を狙って積極的に取引を行います。銀行の責務として、常に市場を正常に機能させるために価格形成と流動性を確保しなければなりません。そのためには常時、市場で取引を行っておく必要があります。


投機というとヘッジファンド、仕手集団などが市場を動かして利益を出すようなイメージがありますが、実は大切な役割があります。

投機とヘッジは表裏一体で、安定的な企業経営を行うのに為替ヘッジが必要であるならば、その受け手が必ず必要になるのです。自動車を所有して運転するときは必ず保険に入ります。それを受けるのは保険会社です。ヘッジとは保険という意味でもありますから、それを受けてくれる相手がいないとリスクをヘッジする機能が働かなくなるのです。


市場は、常に一定以上の取引が無くてはなりません。ですからリスクをヘッジしたい企業もリスクを取って利益をあげたい企業も同時に存在する必要があるのです。もし実需しか存在しなければ、為替レートは一方向に動きがちになります。輸出が常に輸入を上回る日本では、際限なく円高に向かってしまうことになります。


1984年に先物外国為替取引に関する「実需原則」が撤廃されてからは、銀行以外の企業も自由に為替取引ができるようになり、為替市場が拡大しました。この改正以前は、実需の裏付けがない為替取引は禁止されていました。


現在では、実需の占める割合は10%を割り込んでいます。現在では、取引の主体は完全に投機が中心となっています。


外国為替市場は、あらゆる市場の中で最大の市場です。世界のどこでも取引でき、24時間いつでも売買できるのです。主要通貨の取引は規制もほとんど無く、自由公正に取引できる市場になっています。


実需と仮需(投機)のマーケットへの影響


実需と投機では、マーケットに与える影響は異なります。
実需は貿易や資本取引が中心ですから、買い切り、売り切りになります。後から反対売買が行われることはありません。ですから実需の増大減少はトレンドを形成する要因となります。それに対し、投機は短期売買が中心となります。

買ったものは必ず売られ、売られたものは買い戻されます。銀行ディーラーなどは、一日の中で何度も売買を繰り返すことはよくあることです。ヘッジファンドなど銀行以外の投機筋も数日から長くても3ヶ月以内に反対取引が行われます。ヘッジファンドの決算は3ヶ月ごとに行われますから、最長でも3ヶ月ということです。このような投機筋の売買による影響は短期的です。このような短期売買により、買われすぎ、売られすぎが常に発生していますから、ボラティリティは投機によって生まれます。


トレンドは実需によって生まれ、ボラティリティは投機によって生まれるのです。


外国為替再入門 2 変動する為替レート 

外国為替が変動する理由


外国為替も市場で取引されているのですからひとつの商品です。当然価格がついています。りんごが1個100円というように、1ドルが110円というように値段が付いています。ユーロは160円20銭、オーストラリアドルが98円50銭といった具合です。


この値段は基本的に需給関係で決まってきます。商品の需要と供給によって、需要が高ければ上がり、需要よりも供給が上回れば下がります。ドルを買う需要が高ければドルは上がります。ドルを売る、つまり供給が多ければ下がります。日本の輸出が好調で受け取るドルが多ければ、受け取ったドルを円に換えるときにドルの供給が多くなります。逆に言うと円の需要が多くなります。ですから輸出が好調になって獲得する外貨が増えると円に転換する額も増え、円高になっていくのです。


外国為替を理解する上で、需要と供給を理解することは大変重要です。需給関係が外国為替レートを決める最大の要因になっているのです。


需要と供給が生まれる要因


外国為替に影響を与える需要と供給には、主に3つの要因があります。


1 経常取引(貿易取引)
2 資本取引
3 投機(スぺキュレーション)


貿易取引における輸出取引では、獲得した外貨を邦貨に換えます。ドルを売り、円を買うことになります。輸入取引では支払を外貨でおこないますからドルを買います。当然、円を売ることになります。この売買の差額が為替変動の要因となるのです。


資本取引とは、主に外国の証券に投資することです。外国株、外貨投信、外貨建て債権などを買うには円を当該通貨に転換して買う必要があるわけです。売却するときは逆です。売却して得た外貨資金を円に転換します。したがって円が買われ、外貨が売られます。外国人が日本の証券を買う場合は逆になります。外貨を売って円を手に入れ、証券を買います。市場に外貨が供給されることになります。この対内、対外投資の収支によって外国為替相場は動きます。ポーランド、チェコ、ハンガリーなどの新たにEUに参加した国々への投資が活発におこなわれるため、これらの国の通貨は近年上昇しています。BRICsなどの新興国も同様です。


投機取引(スペキュレーション)とは、為替差益を狙っておこなわれる取引です。銀行の自己ディーリング部門、ヘッジファンドなどが該当します。ある通貨が上昇するという見方が強まると、その通貨の需要が高まります。下がるという見方が強まれば売られるのです。つまり供給が多くなるのです。このような投機的取引は本来の需要があって取引がなされたわけではないので、一定期間を経て必ず反対売買がおこなわれます。


総じていえることは、経常取引は買い切り、売り切りが主であるため長期トレンドを形成します。それに対し投機取引では、短期売買で売られすぎ、買われすぎが起きるためボラティリティの主たる要因となります。


外国為替再入門 1 外国為替を理解する

外国為替とは


外国為替とは言葉の定義から説明すると「外国の通貨を交換すること」です。Foreign Exchange、FXなどとも呼称されます。

これは外国為替のすべてを表現しているとはいえません。現実には外国為替市場、外国為替相場、外国為替取引、外国為替ディーラーなど他の言葉と組み合わせて使われます。市場、取引、相場、ディーラーといった言葉は、株式や債券、商品など扱われる対象とセットではじめて意味を成します。外国為替も同じです。取り扱う対象が通貨であることから、通貨を扱う市場、通貨を扱う取引、通貨の相場、通貨を取引するディーラーといった形で概念を理解していくと全体像が見えてくるのです。


外国為替取引


普段の生活の中で外国為替に接する機会は少ないと思います。多くの場合は、海外旅行の際に外貨交換するとき直接的に意識することが多いでしょう。そのときに提示される交換レートはどのように決まってくるのでしょうか。


メーカーであれ、商社であれ、海外に商品を輸出している企業は売上を外貨で受け取ることが多いですね。受け取った外貨はどこで邦貨に換えるのでしょう。現在の外国為替は変動相場制になっていますから、毎日為替レートは変わっています。企業の担当者は採算レートを考えて輸出価格を決めなければいけません。では、どのようにして為替レートを決めているのでしょうか。


最近では、特に外国為替管理法が改正されてからは、個人の外貨志向が高まっています。円金利が超低金利時代に突入してから久しく、高金利を求めて外貨預金が増えました。また、長期的な円安傾向が外貨保有に拍車をかけたようです。円安の傾向が見えてくると外貨預金が増えるのも一般的な流れとなってきました。


「外国為替再入門」ではFX投資といった投資家としての立場から見た外国為替ではなく、外国為替全体を理解することを目的としています。FX投資家にとって外国為替を理解することは、外国為替地図を理解するようなものです。地形、道路、勾配などを理解せずに車の運転をするのは危険です。交通規則も知っておかなければならないでしょう。ハンドルは握れるけれど、標識の意味を知らないこともあります。「外国為替再入門」が外国為替を理解するためのガイドマップなれれば幸いと思います。


ポジション


外国為替取引をするということは通貨を買ったり売ったりすることです。売買状況のことをポジションといいます。「買い」持ちしているポジションをロング、ロングポジションといいます。「売り」持ちしているポジションをショート、ショートポジションといいます。「買い」ポジションと「売り」ポジションが均衡しているときをスクウェアといいます。


保有ポジションを決済することをスクウェアということもあります。またカバーということもあります。ショートしているポジションを手仕舞うことをショートカバーなどといいます。


ドルの外貨預金をした場合、円を売ってドルを買うことになりますから、円に対するドルのポジションは「買い」持ちになります。円高になれば為替差損が出ます。逆に円安になれば為替差益が付いてきます。